会計学って何? 会計の研究って何するの? 会計学の手法や作法を解説していきます!

 

こんにちは。とむるです。

今回の記事では、私が大学院で学んでいる『会計学・会計研究』について解説していきます。

多くの人が会計学という言葉から、『現在の会計基準や制度、会計実務は妥当か。妥当でないとすればどうあるべきか。』をテーマとして扱う学問分野であるとイメージする人が多いと思います。確かにこうした会計研究も存在し、「規範的アプローチ」と呼ばれています。

ただ、会計研究においては規範的アプローチの他、多くの手法が経済学、ファイナンス、心理学などで用いられている理論などを取り入れて展開されている研究アプローチが多く存在します。最近では、機械学習などのAI関連技術やマクロ経済の理論を取り入れた研究を見受けられるようになりました。

こうした会計学・会計研究の裾野の広さをぜひ多くの人に知っていただきたいと思っています。そこで何回かに分けて会計学・会計研究の各アプローチ執筆していく予定ですので、ぜひご覧ください。

読者としては、①現在会計を大学で学んでいる大学生、②会計実務に携わる方、③会計を知りたいと思っているけど、どこから勉強していいか分からない技術系の方などを想定しています。

今回の記事では各アプローチの概要を説明していきますので、関心を持ったアプローチを中心に少しでも知っていただき、ぜひ会計学・会計研究の扉を開いていただきたいと思います。

 

会計学とは? また会計研究って何を研究するの?

そもそも会計学とは何でしょうか?会計学の定義についてWikipediaでは、以下のように記されています。

会計学(かいけいがく、accounting)は、社会科学の1つ。企業、官庁、家計(基本的には企業を対象としている)など一定の経済主体が行う会計行為、すなわち、富の存在とその変動に伴う損益とに関する計数的情報の認識・測定と伝達の行為を対象とし、法則、性格、構造などを、首尾一貫した理論的体系をもって解明しようとする学問のことである。

Wikipediaの定義では、社会科学の1つに分類されていますが、要は家計や商店から始まり、企業、もっと大きいものになると国などの経済主体を記述し、認識・測定を行う『会計』というものを体系化して解明を目指す学術分野のことになります。

私は上記で、またこれから解説する用語の中で会計を研究する手法について触れています。ただこれらも『財務会計』という会計分野の中での研究手法になります。会計には、主として企業の外部環境を対象とした『財務会計』分野以外にも、企業の内部環境を対象とした『管理会計』や国レベルの経済活動を対象とした『マクロ会計(国民経済計算体系)』などがあります。

また本記事では、会計学と会計研究を区別した書き方をしています。これは「会計は学問ではない。」と断じた著名な会計学者であるDemski(2007)から来ています。Demski(2007)は、「会計は1つの知識体系(discipline)ではあるが、学問(academic discipline)ではない。」としていますので、私も会計学と会計研究を区別しました。この見方には、賛否両論ありますが、会計が学問でない理由は、それが実務に直接的に役に立ち、そして実務に直接役に立つような教育が行なわれていることから来ています。

つまりどういうことかと言いますと、『実務に役に立つことは、企業や専門学校で教えたらいいのであって、大学ではもっと本質的な人類の知に貢献するようなもの(例えば、純粋数学のような)を教えたり、研究すべきである。』と主張しています。

こうした論調を考慮すると、会計研究というのは、『会計を取り巻くある現象から一歩身を引いてその原因を究明する学術的な態度や姿勢のこと』ということになります。

いかがでしょうか。難しい話が続きましたがようは、簿記みたいな実務でよく使われて役にたつものは、会計学や会計研究じゃないよ。ということを会計学者の大家の言われる人たちが主張しているわけです。

なので、会計=簿記というイメージをまずは一新していただけると、それだけでこの記事を書いたかいがあります。会計の中に簿記があり、会計学・会計研究の中で簿記はほとんど登場しません(ツールの1つとして登場することはあります)

こうしたことを踏まえたうえで会計学・会計研究の手法を知り、その世界観を楽しんでいただけば、幸いです!

それでは、以下より会計学・会計研究の研究手法を解説していきます!

 

規範的アプローチとは?

規範的アプローチとは、『あるべき会計基準や会計制度などの理想的な状態を想定し、そのための理論的な基礎を提供しようとする研究アプローチ』になります。

規範的なアプローチとして「演繹法」と「帰納法」が2つの方法があります。この2つの方法は、中学や高校の数学などでお聞きしたことがあるかと思います。演繹法とは、一般的な原理から論理的な推論を進め、結論を導く方法になります。一方で帰納法とは、個別事象から事象の間の関係を推論し、一般原理を導く方法になります。

多くの人にとって会計学といえば規範的アプローチのイメージがあると思います。確かに1960年代まで会計研究の主流でしたが、実証的アプローチが1960年代後半に米国を中心として主流となって、以後下火となっていきました。

 

実証的アプローチとは?

会計研究における実証的アプローチとは、『ある事象に対して経験的事実を重視して一般化の適用を目指すアプローチ』になります。少し難しい言い方をしましたが、実証的アプローチは経済学の影響を大きく受けています。特にシカゴ学派と呼ばれるシカゴ大学の経済学閥の中心的人物であったFriedman(1953)は、

 

実証経済学の課題は、事態のどんな変化についてもその諸結果について正しい予測をするのに使用できるような一般化の体系を提供することである。

 

と述べています。つまり実証的アプローチでは、会計研究においても現実に起きている事象を説明するために立てた仮説を経験的事実(企業データや証券のデータなど)に基づいて、一般化しようと試みが行われます。

実証的アプローチには、大きく分けて2つの潮流があります。1つ目に「会計情報と証券価格の関係を分析する」研究です。もう1つは、「経営者の会計的施策や会計行動を説明する理論を構築する」研究になります。

現在の会計研究では、この実証的アプローチが米国や日本でも一番の主流になっています。ただ米国では実証的アプローチの限界を見据えてきていますし、ヨーロッパなどでは、前述した規範的アプローチもまだまだ盛んに研究が行われています。

 

分析的アプローチとは?

分析的アプローチとは、『会計が関わる事象に対して数理モデル分析の手法を研究するアプローチ』になります。分析的アプローチでは、ミクロ経済学の理論であるゲーム理論契約理論などを用いて、会計を巡る経済主体の行動の分析を行っています。

分析的なアプローチの論文を読んでみると複雑な数式(確率や積分など)が多く見受けられ、本当に「これは会計なの?」って論文ばかりです(笑) というのも経済学の理論を用いて、研究者が与えた命題の証明を行っているのでどうしても経済学の要素を多分に含んだ数学的色彩が色濃い分析手法となっています。

 

実験的アプローチとは?

実験的アプローチとは、『研究者自らが原因となる要因(変数)を操作し、事象の結果や課題の説明を試みようとするアプローチ』になります。実験的アプローチは、経済学や心理学の実験をベースとした手法になります。といってもなかなか実感がわきませんよね・・・。

このアプローチでは、心理学や最近では経済学でも盛んに行われるようになった(日本ではまだまだ・・・)実験的な要素を会計にも取り入れています。

例えば、大学生を集めて企業の財務諸表を見せて、一定の条件を与えた上で企業の今後の業績を予想してもらいます(つまり仮想の投資家になってもらうということです)。この結果として、損益計算書の純利益へのこだわりの有無を調べます。こうした実験を行うことで、会計を取り巻く人の生の声を拾った上で自身の主張を行ったり、証券データなどに含まれるノイズを排除することができ、説得性のある論調を展開でできます。

しかし実証的アプローチなどとは違って、研究が変数を操作できる分、丁寧に実験を行わないと結果によっては説得性が全く異なるものになります。また実験の準備に手間がかかることや実験参加者への守備義務を徹底する必要があるなどこれまでの研究ではなかったデメリットもあります。

以上、会計学・会計研究とはどういったものかを考察したうえで、現在の会計学・会計研究のアプローチ手法を紹介しました核分析手法は、個別に別記事でより詳しく紹介していきたいと思います。

この記事を通して、少しでも会計に興味を持っていただけると大変ありがたいです!

 

今回の記事では、以下の参考文献を使用しました。

 

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