会計とブロックチェーン技術 ~その大いなる可能性~

こんにちは。とむるです。

最近では、ビットコイン関連ニュースが大いに盛り上がっていますが、今回の記事では、ビットコインを支える技術であるブロックチェーンと私の会計の関連性について書いていきたいと思います。

そもそもブロックチェーンって何?

この記事を読んでいるという方は、ブロックチェーンについてどの程度の知識をお持ちでしょうか。2017年11月現在のビットコインの爆上げによって「ビットコインを含む仮想通貨についてはよく知っているよ。」って方はかなり増えてきています。ただそのビットコインを支える技術であるブロックチェーンをご存知の方はまだ少ないかなと思います。

今回の記事では、簡単な説明に止めますが、ブロックチェーンとは、ビットコインの一定期間に行われた取引データ(トランザクションデータ)を一つのかたまにして鎖(チェーン)上にしたものになります。

ブロックチェーンの大きな特徴は分散していること、パブリックであることです。分散しているということはブロックが保存されているデータベースが1つではなく、世界中に分散されているということです。万が一1つのデータベースが乗っ取られてしまったり、動作しなくなってもブロックチェーンのネットワークやシステムは動き続けることができます。

またパブリックであるということは、1つの場所にデータが保管されているわけではなく、ネットワーク上に置かれているのでいつでも自由に情報を観察、その正しさを簡単に検証することができます。

実はこうしたブロックチェーンの特徴が、『会計』の世界をも変えようとしています。

ブロックチェーンと会計ってどう結びついているの?

2015年に起きた東芝の不正会計問題(東芝は2017年10月20日に公表した『内部管理体制の改善報告書』にて従来用いてきた「不適切会計」という文言を「不正会計」に変更しました。)は、非常に大きなニュースとなったことは覚えている方も多いと思います。

数多くの革新的な製品を生み出し、長年日本経済を牽引してきた、日本をまさに代表する企業で実はとても大きな不正が行われていたことが発覚しました。この事件は東芝を根底から揺るがし、2年以上たった現在においても東芝に暗い影を落としています。

さらに東芝の不正会計問題で、東芝と同様に非難にさらされたのは、東芝の監査を行った新日本有限責任監査法人です。新日本有限責任監査法人は東芝の不正会計を事前に見抜けなかったことから多くの批判にさらされ、翌2015年度の顧客数が1000社を切るなど日本最大手の監査法人としての信頼も大きく損なわれました。現在もその信頼は回復しきれておらず、日本最大手の地位さえも脅かされている状況です。

前置きが長くなりましたが、東芝の事件では、実際に不正会計を行っていた東芝だけでなく、その監査を行っていた新日本有限責任監査法人まで大きな打撃を受けてしまいました。ただし、現在の多様化する企業の監査を行った上で企業が行っている不正を発見することは、容易なことではありません。

例えば、東芝の場合でも原発からエレベーターまで製造しており、その会計処理は複雑極まります。また今日の金融サービスを提供する企業のデリバティブや仮想通貨もそうですが、これらも1つ1つ会計処理が異なるなど企業の事業形態が非常に多様化し、少数の監査人たちが限られた期間内で監査を行うことが困難な状況になってきました。また企業側も財務諸表を作成するにあたってこうした複雑なビジネスを測定し、決まったフォーマットの形として提供することは非常に煩雑でコストのかかるものとなってきました。

こうした中でBig4を中心とした監査法人・監査人たちや財務諸表を作成する側である企業がブロックチェーンに注目をしているわけです。ブロックチェーンを会計に導入することでどういう結果が得られるかを以下に簡単に述べます。

  1. リアルタイムで会計記録・測定が可能となる。
  2. 紙ベースの処理や手入力の手間がなくなり、入力ミスの回避や経理担当者の人員が削減できる。
  3. 現場レベル・経営者レベルの会計不正ができなくなる。

1.リアルタイムで会計記録・測定が可能となる。

ではまずリアルタイムで会計記録・測定が可能となるとはどういうことでしょうか。これは現在の複式簿記にブロックチェーンを追加した『三式簿記会計』と呼ばれる手法によって実現することができます。

三式簿記会計のやり方を具体的にみていくと、まずA社が自社の製品やサービスの販売記録や費用の処理などを通常の仕訳に加えて、タイムスタンプ(電子的時刻証明)つきで、ブロックチェーンに記録します。A社がB社に製品を掛けで販売した場合、A社の仕訳としては、借方に売掛金、貸方に売上が計上され、B社の仕訳としては、借方に仕入、貸方に買掛金が計上されます。さらに三式簿記会計ではこのA、B両社の仕訳がブロックチェーンに記録され、この記録が監査法人、会計事務所、経営者など限られた対象者だけが見られるようにします(もちろん株主なども含んでいいです)。

この三式簿記会計を用いることで監査法人はリアルタイムで財務情報を見るができ、不正がないかを逐一確認することができます。よって監査業務も限られた期間内で済ませたり、多くの人員・コストをかける必要もなく監査業務もかなり軽減されます。また経営者は現場レベルやマネジメントレベルで不正が行われていないかを確認することができ、かつ常に監視がおこなれているのを知っているので、より透明な経営を行う必要性が出てきます。

株主にとっても不正がないかを逐一確認できると安心してその企業に投資をすることができます。経営者と株主間で発生するエージェンシーコストも大幅に下がることが期待できます。

実はこれは構想の段階ではなく、すでにアメリカのフィンテック企業であるConsenSysがBalanc3という三式簿記会計の開発に取り組んでいます。ConsenSysは、Big4の中でも最大規模を誇るデロイトと提携してブロックチェーンを用いて、従来の金融業務や会計業務の変革を推進しています。またデロイトもConsenSysと組むことでブロックチェーンへの対応を急いでいます。

さらにリアルタイムで手に入る会計記録をAIによって解析すれば、監査もさらに迅速に行うことが期待されます。

2.紙ベースの処理や手入力の手間がなくなり、入力ミスの回避や経理担当者の人員が削減できる。

次に紙ベースの処理や手入力の手間がなくなり、入力ミスの回避や経理担当者の人員が削減できるですが、これはクラウド会計の技術とブロックチェーンの技術を融合させることで実現できます。現在でも仕訳は、ほとんど自動化しており単純な仕訳処理や入力などはなくなってきていますが、やはり契約や決済は紙ベースで行われていることから全てを自動化し、電子処理はできていません。

ただしこうしたものもブロックチェーンを用いたスマートコントラクトと呼ばれる手法で契約や取引との決済を行い、さらにはリアルタイムでは把握し、記録・測定することができる方法が開発されています。こうした手法を企業活動全体で応用したスマート経営によって帳簿をわざわざ用意し、決算情報を使って財務諸表を手間をかけて作成する作業がなくなろうとしています。

スマートコントラクトについてはまた別記事で紹介します。

3.現場レベル・経営者レベルの会計不正ができなくなる。

ブロックチェーンやブロックチェーンを応用したスマートコントラクトによって一度記録された情報を誰かが変更することはできますが、改ざんすることはできません。また製品の原材料からの製造過程⇒流通⇒販売といったサプライ・チェーンもブロックチェーン上で全て追跡をすることができます。

よって現場の従業員や経営者が不正を行うことはできず、万が一不正を行おうとすればその内容が記録されてしまいます。またIoTの普及によって工場などで行われていることも逐一経営者や監査法人、株主が追うことも可能になる可能性は高いです(最近の多くの企業での不正発覚も原因の一つにIoTの普及があると言われれています)。

以上、ブロックチェーンを会計に導入することでどういう結果が得られるかを3つに分けて紹介してきました。仮想通貨自体が大きな脚光を浴びる中、実はブロックチェーンの技術の方が世界中で大きく期待されています。ビットコインの存在には否定的菜人でもブロックチェーンには肯定的な人は大勢います。

私の専門が会計ということで、今回の記事ではブロックチェーン×会計の事例を紹介しました。他にもブロックチェーンを用いた事例が数多くあり、現在実証実験が行われていたり、実現され実際のサービスになったりしているのでぜひ注目してみてください!

以下、今回の記事の参考文献になります。

参考文献
Deloitte and ConsenSys (2016) “Deloitte and ConsenSys Enterprise join forces to fundamentally transform banking”, May 3, 2016
・ドン・タプスコット、アレックス・タプスコット(高橋璃子訳) (2016)『ブロックチェーン・レボリューション ービットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのかー』ダイヤモンド社
・岡田幸彦・野間幹晴 (2017) 『企業会計』第68巻第7号, pp.31-39

 

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